私は、教員時代に1年間の育休を取得しました。男性の育休取得の話題最近良く耳にしますが、男性が育休を取得するとどうなるのか、イメージがつかめない人もいるのではないでしょうか。今回は実際に1年間、男性教員である筆者が育休を取得した上で感じた、メリット・デメリットを紹介したいと思います。
これから育休の取得を考えている男性にとって参考になるものがあれば幸いです。
男性教員が育休取得するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・子どもと過ごす時間が増える ・家事育児のスキルが向上する ・家計や人生設計を見直すきっかけになる | ・収入が減少する ・夫婦仲が悪くなると大変 |
デメリットについて
メリット・デメリットの感じ方は人それぞれで、家庭の状況やその人の性格によっても違うとは思いますが、私自身が感じたことを説明していきます。
始めにデメリットから見ていきましょう。
収入が減少する
育休の取得において多くの人が気になる部分ではないかと思います。私自身も、デメリットはこの点ぐらいかなと感じていたものです。4月からの1年間の育休取得で、実際にどの程度の収入減であったのか具体的に数字で把握できれば参考になることも多いかと思いますので、私自身の例を記します。(おおよその数字で記す部分もありますのでご了承ください。)
まず、そもそも育休時のお金は給料という形ではなく加入している社会保険(雇用保険)から手当という形でもらえます。そして育休対象の子どもが1歳に達する日の前日までが標準報酬日額の67%〜50%✕勤務日数分の計算でもらうことができます。(※取得から180日までが67%、180日を超える日にちから1歳に達する前日までが50%。最長で2歳までは条件を満たせばもらうことができます。)
標準報酬日額を算出するうえで把握しておくべきものは標準報酬月額というものです。簡単に言うと社会保険料等算出の基礎となるものです。この標準報酬月額はその年の4〜6月の3ヶ月間の給料の月平均額となります。私の場合は育休取得前の前年の4月〜6月の月平均額の額面(報酬月額)が約40万でしたので下記表において等級が27(24)級、月額が410,000となりました。
標準報酬日額の算出
標準報酬月額(410,000)÷22日=18,640円(10円未満四捨五入)
給付日額の算出
この日額(18,640)に取得から半年(180日まで)が67/100(67%)
18,640✕67/100=12,488円
180日を超える日から1歳に達する前日までが50/100(50%)
18,640✕50/100=9,320円
上記が1日分の給付金額です。
各月の勤務日数✕給付日額が各月の育児休業手当金の額となります。
勤務日数を毎月22日とします。その計算でいくと、取得から半年までが
22日✕12,488✕6ヶ月=1,648,416
半年以降
22日✕9,320✕6ヶ月=1,230,240
年間合計
1,648,416+1,230,240=2,878,656円
約290万円が手当金のみでの収入となります。
4月からの育休取得でしたので6月分のボーナスの支給もありました。約60万円程度でした。
それも合計すると4月から1年間の育休取得での収入は合計約350万円(手取り)でした。
前年度の手取りからの減少額はおおよそですが、180万円程度です。
正確には次年度の住民税の減少などもあるためトータルでの減少額はもう少しすくなくなるかと思いますが、今回は直接的に数字で読み取れる額とします。
この額の大小の感じ方は人それぞれかと思います。私も決して少ない額ではないと感じましたが、それを補って余りあるメリットが1年間の育休取得にはあったと私は感じました。(メリットについては後述します。)
夫婦仲が悪くなると大変
夫婦で育休を取得している場合は当然家で一緒に過ごす時間が長くなります。
育児は想像以上に大変な面もあるため、なかなか息抜きができないという状況になることもあります。
そんな中夫婦で助け合って、協力的にできる場面が多ければ問題ないのですが、そうもいかない状況が続けば、パートナーへの不満がたまることも予想されます。
ささいなことをきっかけに不満がたまっていくと、なかなか解消していくのが難しくなってきます。
相手の行動全てがが自分にとって気に食わないものに感じてしまうようになってきます。
育児に対する教育観も夫婦で全く同じという状況にはならないかと思います。そんな中、相手の行動が気になるような状況では育児はうまくはいかないです。
男性教員が育休を取得したのにも関わらず、それが一因で夫婦関係につながってしまうと、せっかくの貴重な時間が無駄になってしまいます。
夫婦の中がうまくいかなくなる原因の一つがコミュニケーション不足にあります。
相手からの言葉を聞き流してしまう。言葉で伝えなくてもわかってくれる。家族として過ごしているとそんな状況になってしまうことは少なくないかもしれません。夫婦であっても元は赤の他人です。職場で生徒や先生と心がけているように、とまでは言いませんが夫婦でもコミュニケーションの取り方を工夫していきましょう。
メリットについて
ここからは私が1年間、育休を取得して感じたメリットについて説明していきます。私が感じた1年間の育休取得のデメリットは、収入減のみでした。そのデメリットを考慮しても男性教員の育休取得を後押ししたいようなメリットが多くありました。
子どもと過ごす時間が増える
当然ですが、育児をするために休みを取っているため、家にいる時間が多くなり、子どもと過ごす時間が圧倒的に増えます。
ただ単に時間が増えるというわけではなく、仕事の責任感やプレッシャーなどから開放された中で、子どもと過ごせるため、仕事と育児を両立していた時に比べて、子どもへの接し方にも余裕ができます。
今まで感じなかった育児の良さを多く感じることができるでしょう。
子どもとの関わりも増えることで、子ども自身もパパに対する信頼感は増してきます。ここで大切なのはただ家にいるだけでなく、関わる時間を増やす。ということです。学校での児童・生徒の指導と同じで、「よく見て、よく関わる」この行動が信頼関係の構築に繋がります。
子どもと過ごす時間が増えて信頼関係の構築もできた状態での育児は、子どものかわいいところ、愛おしいところもたくさん見られて、楽しいことがたくさんになるはずです。もちろん育児の大変さも同時に感じることもありますが、子どもの成長を間近で見ることができる。これはかけがえのない時間になるはずです。
家事・育児のスキルが向上する
子育て家庭の家事は本当にたくさんあります。仕事を休んで家にいる時間にそれらの家事をこなしていくことで必然的にスキルが向上していきます。
家事の内容は大きく分けて以下の種類です。
・料理(離乳食作り)・掃除・洗濯・収納・整理整頓・家計管理・生活環境の保守・季節行事など。
料理一つを例に細かな仕事を挙げると
- 献立を考える(朝・昼・晩)
- 冷蔵庫の在庫をチェックする
- 消費期限・賞味期限の管理
- 食材の買い物に行く
- 買ってきた食材を冷蔵庫や棚に収納する
- 使用した食器などを洗う。
などといった仕事があります。その他の大きく種類分けされた家事についても同様に、やるべきことはたくさん挙げられます。全部を一人でこなすわけではなく家族で分担しているものもあるでしょうが、積極的に自分でやるべきことを見つけて、進んで取り組んでいくことで段取りも良くなっていきます。子育てのための育休ですが、家事をしっかりこなすことは立派な育休中の仕事です。
そういった主体性があれば、家族関係も良好な状態で、家事スキルの向上にも繋がります。
もちろん逆も然りですが・・・。
育児の内容については
・おむつ替え・ねかしつけ・夜泣き対応・ミルクや離乳食をあげる・沐浴、入浴・スキンケア・洋服の着替え・散歩や公園など外へ連れていく・一緒に遊ぶなどのコミュニケーションなど
これら複数あるだけでなく、成長に応じて育児内容についても変化していくものに対応していきます。
家事・育児への取り組みは経験すればするほどやり方や勝手などもわかってきて、スキルも向上していきます。
せっかく育休を取った機会に積極的に家に関わることに挑戦していきましょう!
今まで感じたことのなかった自分の得意分野などが見つかるかもしれません。
家計や人生設計を見直すきっかけになる
私の家庭においては夫婦で揃って育休を取得していました。そのため収入の減少も大きく生活への不安も正直ありました。しかし、そうした不安があったからこそ家計をしっかりと見直そうと自然と思えたところがありました。
実は恥ずかしい話ですが、育休を取得する前は、なんとなく家計の支出は収入よりは下回ってはいないなぁ、ぐらいの感覚で生活を送っていました。
しかし、確実に支出のほうが上回ってしまっていた育休期間では、少しでも貯金を切り崩す額を減らそうと、家計簿アプリを使用して、支出を漏れなく管理するようになりました。本当に必要なもの・価値のあるものを厳選して買う意識を持つようになりました。
この意識が持てたことは、育休終了後の生活においても、家計管理がしっかりでき、生活水準を上げなくても満足度の高い生活が送れるようになるなど、トータルで考えると、とてもプラスになったことでした。
また家計管理をしっかりと行うようになったことで、今後の人生についてもしっかりと考えるようになりました。
仕事に忙殺していた時と違い、家にいることで子どもや妻、家族と向き合う時間が多くなり、気持ちにも多少、余裕ができたことで、今後の人生についても真剣に考えるきっかけとなりました。
自分の子どもとこれからどういう生活を送っていきたいのか、どんな家庭にしていきたいのか、自分にとって大切なものは何なのか、将来自分はどうなっていたら幸せなんだろうか、様々なことを時間をかけて考えることができました。
育休を取得したことで、仕事一筋のような生活から一度立ち止まるきっかけができました。
そのおかげで、視野が広がり、考え方も柔軟になり、生き方にも変化があり、人生がより楽しいものになりました。
まとめ
男性教員が育休取得するメリット・デメリット
【デメリット】
・収入が減少する
・夫婦仲が悪くなると大変
【メリット】
・子どもと過ごす時間が増える
・家事育児のスキルが向上する
・家計や人生設計を見直すきっかけになる
以上のように私自身が1年間の育休取得で経験したことを元に記させていただきました。
男性の育休取得は今とても話題になっていますが、私自身は育休取得したことに関して、本当に良かったと思っています。
デメリットはもちろんありますが、メリットも多く、今までの人生において本当に貴重な経験ができた期間でした。
今回の記事で、私の経験を伝えることで、男性教員の方など育休取得に関して悩まれている方に、何かよいきっかけとなれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。