最近、男性の育休取得についてとても話題になっていますね。
国が男性の育休取得を推進しているのもあって、職場でも育休取得をした男性教員がいたり、そういった話を聞いたなんて方もいるのではないかと思います。
でも実際に男性教員が育休を取るとしたら何をすればいいんだろうと悩んでいる方もいるのではないでしょうか?身近に経験をした人がいて、話を聞ける人はいいのですが、そうではない方、「育休取ってみたいんだけど何から始めたらいいんだろう?」と考えている方、そんな方が迷わず育休取得に向けて動いていけるように、実際に1年間の育休を取得した私の経験を踏まえながら手順について説明していきます。
※この記事では、1週間程度の短期の育休取得ではなく、長期の育休取得に向けた手順の話をしていきます。
家族(妻)とよく話し合う
まず、大前提として、家族(妻)の理解を得ることが第一です。育休を取得するうえでのメリット・デメリットはもちろんあります。デメリットも考慮した上で、家庭においてそれが許容できるものなのか。妻が育休取得することについてどう思っているのか(夫がずっと家にいることについてよく思わない人もいる…。)考える必要があります。
「うちの夫、育休とって家にいるけど、何もしないで…ただ子どもが増えただけ。」と思われてしまうケースもあるようです…。
ただ、仕事を休みたい。楽できるから。などといった安易な理由で育休を取得すると、男性の育児参加や貢献度は低いものとなり、前述したような関係性の悪化を招くことにも繋がります。それでは、家族のために取ったはずの育休であったのに本末転倒となっていまいますよね・・・。
育休取得の意義、期間や時期なども含め、自分だけの考えでなく、妻(女性)の意見もよく聞き、家族が納得した上で進めていきましょう。
話し合うべきポイント
- 育休取得して何をしていきたいのか
- いつから取得するか(生まれてすぐ、仕事のキリが良くなる期間から、等)
- 妻が仕事をしている場合、妻の復帰時期などの意向。(一緒に育児をして欲しいと思っていたり、逆に入れ替わりで夫が育休に入ることで助かると考えるケースなどがある。)
最終的に家族との相談等も行ったうえで、私が育休を取得した期間は1年間(4月1日〜3月31日)でした。
管理職に相談
実際に私が育休取得をする際に、いつ、どういったタイミングで管理職へ相談していたのかを段階をおって説明します。
管理職との相談内容と取得までの経緯
1.三人目の子どもを考え始めた段階(妊娠前)で、育休取得の相談。この時点ではもし3人目が生まれたら取得したいという意向と、学校として取得時期に負担のない時期などはいつなのか、などの相談。(育休取得の前々年度の1月あたりだった気がします・・・ただ子どもが生まれてくる時期は決められるものではないので、時期についてはどうしようもない場合もあります。)
ちなみに、当時の校長から、育休を取得した際の代替が見つかりやすい時期は4月からの採用が1番。次に10月と聞きました。
2.三人目の妊娠がわかり安定期に入った時期に、妊娠の報告。(1月が出産予定日で報告した時期が育休取得の前年度の8月あたり)その報告と同時に長期の育休取得の意向を相談。
長期の取得にあたってできるだけ職場に負担はかからないようにしたかったので、1月の出産からすぐの取得ではなく、4月から1年間の取得を私達の家庭は考えました。
出産後すぐの大変さがわかっていただけに時期は迷いました。ただ、出産直後は数日休暇を取ったりしながら対応し、3月いっぱいまではなるべく早く帰宅できるように仕事を調整するなどしていました。学校現場は年度単位で動くことも多く、4月1日〜3月31日の丸々1年いないことによる影響は少ないので、気持ち的にも育休を取得しやすいと感じました。
年度途中での育休取得を考えている場合は、妊娠の報告も安定期を待たずにしたほうが良い場合があります。
育休取得の前年度のうちに妊娠の事実がわかり、育休取得の意向を伝えることをしておけば、校内人事の関係で、担任を外してもらうなどの配慮もしてもらえることがあるからです。
人員の関係上なかなか難しい面もあるかもしれませんが、年度途中から、長期の育休を取得する際には、その年度の担当する仕事についての相談もしておきましょう。
3.校長との意向聴取の面談にて相談。(育休取得の前年度の10月あたり)安定期に入った報告をした時期に近かったのですが、毎年異動希望などの書類提出・面談が校長とあります。その場にて異動希望の有無などともに、育休取得の時期、期間等の意向を改めて確認しました。
4.出産の報告の際、育休取得の時期や期間の確定(育休取得の前年度の1月)
このように何段階かの相談を経て、1年間の育休を取得しました。自分が育休を取っている間の代替などの人事は心配事の一つであると思います。そこは管理職が調整していく部分ですので、丁寧に相談をするに越したことはないです。
私がいた当時の職場では、1年間など、長期で育休を取得していた男性がいなかったので、学校として男性が育休を取得するのがどうなのかわからないことも多くありました。また、できれば職場に負担が少しでもかからないように、自分自身も気持ちよく育休に入ることができたらと思っていたので、管理職とは何度か相談をしながら育休の取得に向けて動いていきました。
お互いに気持ちよく育休取得に動いていけるよう、社会人の基本でもありますが、報・連・相はしっかりと行っていきましょう。
事務との書類手続き
育休取得の際の書類手続きは意外とあっさりとしていたように感じます。大きくは育休中の社会保険関係の免除の書類、手当金の請求書の2種類のみでした。そのほかに通勤手当をもらっている際には育休期間中の通勤手当の停止の手続き等も必要でしたが、基本的には書類も含め育休に入ってからの提出でしたので、書類は事前に作成できる部分は自身で行い、書類提出・他の手続きは事務の方が進めてくれました。
提出書類
- 育児休業掛金免除申出書
- 育児休業手当金請求書
※自治体によって書類の名称は異なると思います。公立学校共済組合の各支部(ご自身勤務する学校の所属する都道府県)のサイト等でご確認ください。
事務的な手続きは当然事務とのやり取りになります、学校にいる事務の方への連絡も漏らさず行いましょう。
男性教員であっても提出書類等は女性教員と違いはありませんので、事務の方は手続きをスムーズに行ってくれると思います。
これは余談ですが、事務室の方との関係性は普段からよくしていくように心がけましょう。事務の人を下に見るような教員をみてきたこともありました。事務からみても、手続き関係でルーズな教員が多くよく思ってない場面もみてきました。(教員の多忙さも一因であると思いますが・・・)
私は事務室のお陰で給料も無事にもらえることができてると思っているスタンスなので、事務から連絡があった書類関係は優先して早くに提出するなど心がけてきました。
同じ職場で働く者同士、お互いの仕事を尊敬し合って、気持ちよく付き合えるのが一番ですね。普段からの関係もよければ、育休取得などの際にも応援してもらえると思います。
関係する学年や先生へ連絡、引き継ぎ
自身が関係する学年や先生への連絡も大切です。報告不足や対応が遅れたりしてしまうと、周りにも迷惑をかけてしまいます。そうした状態で長期間仕事を抜けるとなると残された教員側から厳しい意見がでてきてしまうこともあります。
周りの人からも応援してもらえる形で育休取得ができるよう、対応していきましょう。そのための基本はやはり報・連・相です。
妊娠や育休取得の意向を報告する
プライベートなことなので、どの先生にもすぐにというわけではありませんが、自分の所属する学年の主任の先生や、教科の主任の先生などにはなるべく早い段階で意向を伝えておくとよいでしょう。
私の場合は育休取得の前年度に卒業学年を担当、担当生徒が卒業後の4月からの取得であったため、一般的な安定期に入ってから報告をしました。
しかし、育休取得の時期によっては最初の一声をかけておくタイミングが早い場合がいいこともあります。ギリギリになってから初めて報告をすると、ただでさえ忙しい業務に更に負担をかけてしまうことになります。早めにわかっていれば事前に対応できることも多くありますので、関係のある先生との信頼関係を崩さないような対応をしていきましょう。
仕事量の調整・引き継ぎ
年度が始まる前に事前に管理職と相談を行っておくことが、必要な部分でもあります。育休で途中で抜けてしまうのにも関わらず、重要な仕事を担当していたりすると、それを引き継ぐ人などに影響が出てしまいます。
年度当初の仕事の担当決めの際など、配慮してもらえるように調整しましょう。
学級・教科・校務分掌・部活動など業務は多岐にわたりますが、途中で交代になってしまうことで負担となるものは始めから任せるなどの調整をしつつも、すべてお任せという態度もよくはありません。
自分がいるうちにできる仕事についてはしっかりと責任を持って行うようにしましょう。
また、引き継ぎが必要な仕事に関してはデータで資料を残しておきましょう。その上で事前に口頭で伝えられるものは補足として伝えておくのがベストです。誰が担当しても資料を見れば大体はわかるというものが作れるのが理想です。
自分のイメージしている引き継ぎたいことを、文章として書き出し、データにするのは意外と大変であったりしますが、そこは頑張って、気持ちよく育休取得ができるようにしましょう。
必要に応じて生徒・保護者への対応
担任を持っている場合はなおさら、年度途中で抜けてしまうことで生徒へも影響があるのは確かです。(本来はそのような影響が少なくなるようなシステムがあればよいのですが・・・人手不足などもあり難しいのが現状です。ですが然るべき対応をした上であれば、先生も自分の家庭を一番に考えてよいものだと私は思います。)
報告すべき内容や時期に関しては、管理職とも相談した上で、進めていきましょう。
一部の生徒や保護者だけに伝えるなどといったことは避けるようにしましょう。すぐに噂で広まったり、伝言していくうちに間違った情報となってしまうこともあります。
まとめ
男性教員が育休を取得するまでの流れ
1.家族としっかりと話し合い、育休取得が有意義なものとなるようにする。
2.管理職への報・連・相をしっかりと行い、人事への影響も少なくできるようにする。
3.書類手続きはぬかりなく。普段から事務の人と良好な関係を築いておく。
4.関係する先生への引き継ぎ等をスムーズに行えるようにする。
以上、この記事では男性教員が1年間育休取得をする上での、心構えや手順について筆者本人の経験も基に解説させていただきました。
皆さんが育休取得を検討するにあたり、この記事が少しでも参考になれたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。